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東レ
FY26通期見通しベース / EV/EBIT型SOTPモデル
Ticker:3402
シナリオプリセット
基本情報
SOTPモデルについて: 東レは繊維・機能化成品・炭素繊維複合材料・環境エンジニアリング・ライフサイエンス+その他の製造業ベース6セグメント構成有形固定資産1.16兆円・有利子負債9,421億円を抱える設備投資型ビジネスです。
ROE 4.6%(FY25実績)、PBR 0.93倍と評価は控えめながら、炭素繊維世界シェア#1・水処理RO膜トップ・土地含み益が SOTP上の重要な価値ドライバー。事業利益(EV/EBIT)型SOTPで評価します。
現在株価(円)
発行済株式数(億株)※自己株控除後
USD/JPY(為替前提)
原油ブレント(US$/BBL)
計算手法(EV/EBIT型SOTP): ① 全6セグメント → 事業利益 × EV/EBIT倍率でセグメントEnterprise Value算出。 ② 持分法投資(簿価)・FVTOCI含み益・不動産含み益(東レ特有)を加算。 ③ 純有利子負債を控除(必須。EV基準のため二重控除にならない)。 ④ コングロマリットディスカウント適用。 ⑤ 損失セグメント(ライフサイエンス)はEBIT×0倍 + 簿価評価のハイブリッド。
事業セグメント評価(事業利益 × EV/EBIT倍率)
事業利益について: 東レの「事業利益」は営業利益から非経常的損益(減損・固定資産売却損益等)を除いた巡航ベース指標。 FY26 9M実績1,051億円 / 通期会社見通し1,500億円。 既定値は2026年3月期 第3四半期9M実績 × 4/3で年換算(1,401億円)。Q4の通期予想到達分(+99億円)はプリセット「会社見通し基準」で反映可能。
繊維事業 最大セグメント
ユニクロ等向け衣料用ナイロン・ポリエステル、産業用途繊維(自動車エアバッグ等)。 FY26 9M:売上8,049億円(+3.9%)、事業利益548億円(+9.5%)。年換算事業利益は約730億円。 ブランド価値・安定収益のため成熟製造業並みの倍率を適用。
事業利益(億円)
EV/EBIT倍率
一時益控除(億円)
推奨倍率: 7〜11倍(成熟ブランド繊維、帝人比較)
機能化成品事業 サイクル底値
樹脂・ケミカル(自動車向け)、フィルム(バッテリーセパレータ・コンデンサ)、電子情報材料(パワーインダクタ・有機EL)。 FY26 9M:売上6,687億円(△6.1%)、事業利益431億円(△10.3%)。年換算約575億円。 韓国セパレータ事業で減損249億円計上、EV市場低迷で底値圏。回復余地大。
事業利益(億円)
EV/EBIT倍率
一時益控除(億円)
推奨倍率: 8〜12倍(化学業界中位、サイクル中央値)
炭素繊維複合材料事業 世界シェアNO.1
航空宇宙(Boeing 787主翼向け)、圧力容器(水素タンク)、風力ブレード等。 FY26 9M:売上2,127億円(△4.7%)、事業利益115億円(△18.6%)。年換算約155億円。 航空宇宙用途は順調回復、一般産業用途は調整局面。水素・脱炭素プレミアムで高倍率適用。
事業利益(億円)
EV/EBIT倍率
一時益控除(億円)
推奨倍率: 18〜28倍(世界シェア#1・水素プレミアム・航空宇宙)
環境・エンジニアリング事業 水処理ESG
逆浸透(RO)膜世界トップ級、海水淡水化、水処理エンジ、東レ建設。 FY26 9M:売上1,803億円(+11.0%)、事業利益176億円(+3.5%)。年換算約235億円。 中東向け好調、中国市況悪影響あるも水資源・ESGプレミアム
事業利益(億円)
EV/EBIT倍率
一時益控除(億円)
推奨倍率: 13〜18倍(ESG・水処理プレミアム)
ライフサイエンス事業 損失セグメント
医薬品(フェロン・ドルナー等)、医療機器(ダイアライザー・カテーテル)。 FY26 9M:売上385億円(△1.8%)、事業損失△11億円。後発医薬品浸透・原材料高止まり影響。 負のEBIT×倍率は意味をなさないため、簿価評価方式を採用(EBIT×0倍 + 別途簿価加算)。
事業利益(億円)
EV/EBIT倍率※損失のため0倍推奨
簿価評価額(億円)※直接加算
医薬・医療機器の事業価値を簿価ベースで評価(推奨300〜500億円)
その他+全社費用調整 負の価値
分析・調査・研究等のサービス事業+本社研究費等の全社費用調整(セグメント間消去・配分外コスト)。 FY26 9M:その他事業利益 5億円、全社費用調整△208億円 → 純額△203億円。年換算約△270億円。 本社R&Dは継続的キャッシュアウトのため負の価値として控除。
事業利益(億円)※負値
EV/EBIT倍率
一時益控除(億円)
推奨倍率: 6〜9倍(HQコスト割引、永続前提)
非営業資産・隠れた含み益(東レ特有)
非営業資産の取り扱い: 東レは持分法投資・FVTOCI金融資産・巨大な工業用地(土地含み益)を保有。 EV/EBIT評価ではこれらが反映されないため、別途加算が必要。 特に不動産含み益は東レの大きな価値ドライバー(簿価は歴史的低取得価格)。
持分法投資(簿価)
持分法投資簿価(億円)
時価プレミアム調整(億円)※任意
FY25年12月末: 1,850億円(持分法損益はEBIT外で計上のため二重計上にならない)
FVTOCI含み益(金融資産)
FVTOCI含み益(億円)
税効果等反映率(%)
退職給付剰余等(億円)
FVTOCI: 2025/12末 689億円。退職給付資産超過分(純額約103億円)も加算可
不動産含み益(東レの最大の隠れ資産)
不動産含み益推定(億円)
税効果等反映率(%)
のれん残高(億円)※参考
滋賀(瀬田)・愛知(岡崎)・愛媛(松前/愛媛工場)等の工業用地、簿価は歴史的取得価格。アナリスト推定3,000〜5,000億円
ネットデット控除・ディスカウント・還元情報
ND控除の理由(伊藤忠モデルとの相違点): 本モデルはEV/EBIT × 事業利益 = Enterprise Valueでセグメント企業価値を評価しています。 EVは負債込みの企業全体の価値のため、株主価値(Equity Value)に変換するには純有利子負債を控除する必要があります。 伊藤忠のPER×NI型では既に株主帰属利益を使うため不要でしたが、東レのEV/EBIT型では必須
純有利子負債(億円)※社債・借入金 − 現金同等物
FY26 12月末: 社債借入9,421億 − 現金2,456億 = 6,966億
コングロマリットディスカウント(%)
推奨: 3〜8%(5セグメント・サイクル性)
親会社帰属持分(億円)
FY26 12月末: 17,620億円
年間配当(円/株)※FY26予想
FY26予想: 20円(中間10円+期末10円)
自社株買い(億円)※FY26実績9M
9M実績: 784億円(年間1,000億円超ペース)
FY26予想NI(億円)※会社見通し
FY26 通期見通し: 820億円(+5.2%)
コングロマリットディスカウント評価フレームワーク:
▼ ディスカウント縮小要因: 炭素繊維世界#1、水処理RO膜トップ、土地含み益、自社株買い積極化(FY25消却済)
▲ ディスカウント拡大要因: ROE 4.6%(低水準)、設備投資負担、EV市場依存、6セグメント複合
DDMクロスチェック用パラメータ
配当成長率(%/年)
推奨: 2〜4%(業績回復 + EPS成長)
株主資本コスト(%)
推奨: 6.5〜8.5%(β≒1.0 × ERP 5.5% + Rf 1%)
還元方針: FY26予想配当 20円/株(中間10円+期末10円)。FY25実績では1,154億円の自社株消却を実施し、 FY26も継続的な自社株買い(9M累計784億円)。総還元利回りは2〜3%台(配当性向は約60%)。
判定結果
SOTP理論株価(Target Price)
対現在株価 upside
理論時価総額
総還元利回り (Total Yield)
実績PBR(株価/BPS)
Implied EV/EBIT(市場ベース)
EV → Equity Value ブリッジ (億円)
セグメント 評価手法 事業利益 × 倍率 EV(億円) 構成比
セグメント合計(オペレーティングEV)
持分法投資(簿価+調整)
FVTOCI含み益+退職給付剰余
不動産含み益(税効果反映後)
Total Enterprise Value
純有利子負債控除(▲)
コングロマリットディスカウント(▲)
理論時価総額(Equity Value)
為替 × 炭素繊維倍率 感応度マトリクス
USD/JPY変動と炭素繊維EV/EBIT倍率の二軸感応度。 東レの為替感応度はUSD/JPY 1円≒10億円程度(伊藤忠より低い:原材料輸入も多いため双方向)。
USD/JPY \ 炭素繊維倍率
不動産含み益 × ディスカウント率 感応度マトリクス
東レSOTPの最大の不確実要因は不動産含み益とディスカウント率。 含み益アナリスト推定3,000〜5,000億円、ディスカウント3〜8%の交互作用を可視化。
不動産含み益 \ ディスカウント
クロスチェック:DDM & PBR-ROE & 残余利益
SOTPとは独立した評価手法で結果を検証。東レはROE 4.6%と低水準のため、PBR-ROEモデルは保守的に出やすい。 DDMもDPS低水準ゆえ過小評価傾向。SOTPメインで判定し、これらは参考値。
DDM理論株価(Gordon成長モデル)
PBR-ROEモデル理論PBR
残余利益モデル理論株価
SOTP vs DDM 乖離
SOTP vs PBR-ROE 乖離
統合理論株価レンジ
ピア比較リファレンス(参考値)
国内化学・素材セクター主要銘柄の参考値。直接比較ではないが、倍率水準のリファレンスとして。
銘柄 時価総額 PBR PER (Fwd) EV/EBIT ROE 特徴
東レ (3402) 炭素繊維#1・水処理
帝人 (3401) 2,500億 0.65 12x 9x 5.0% 繊維・ヘルスケア
三菱ケミカルG (4188) 1.2兆 0.70 14x 10x 4.5% 総合化学
住友化学 (4005) 5,500億 0.55 N/A 12x -2.0% 医薬・農薬
東洋紡 (3101) 900億 0.70 16x 10x 4.0% 繊維・フィルム
Hexcel (米HXL) $5.5B 3.5 25x 18x 12% 炭素繊維専業
※ 参考値は概算(決算期・為替により変動)。東レの炭素繊維事業のスタンドアロン評価で22倍が妥当な水準である根拠:Hexcel(EV/EBIT 18倍)、SGL Carbon(20倍)、米国成長プレミアム剥落分を勘案。
参考:事業利益・PBR分析
事業利益(EBIT)合計と各種PBR・PER指標。東レは低ROEだが土地含み益が大きい。
合計事業利益(全セグメント)
FY26会社見通し対比
理論PBR(SOTP/簿価)
FY26予想NIベース実績PER
実績ROE(NI/簿価)
理論株価ベース理論PER